昇格試験の案内がきた!けど、、そもそも昇格試験って何?
昇格試験に向けて何から準備していけばいいの?
私は10年以上前に高専を卒業して、大企業の工場で生産技術の仕事をしています。
大企業といえど世間で言われている通り、大卒と高専卒では扱いが異なります。
当然大卒のほうが給料は高いし出世も早い、役職に就く人も多いです。
ですが大企業の多くは昇格制度を設けていて、頑張り次第では学歴関係なく出世への道を切り開くことができます。
私も入社してからこれまでに5回の昇格試験を受けて合格してきました。
いまでは同年代の大卒と同じ階級、同じ給料で、大卒と同じ出世コースに乗っています。
昇格制度がある会社では、昇格試験の悩みや不安を抱えている人が多いのではないでしょうか。
そこで今回は昇格試験を5回受けてきた私が、昇格試験合格までのロードマップをわかりやすく解説していきます。
昇格試験とは?公務員と民間企業で呼び名が違います!
「昇格試験」とは民間企業における階級が上がる試験のことです。
公務員の場合は「昇任試験」と言います。
また係長や課長、部長といった肩書きが付く場合は、「昇進試験」となります。
似たような言葉があってまぎらわしいですね
- 「昇格」
-
社内での階級が上がることを言う
役職がつくわけではない。「係長や部長になる」とは違う
- 「昇進」
-
会社で役職が上がることを言い、係長や課長などの肩書きが付く
公務員に使われる「昇任」と同じ意味
- 「昇任」
-
公務員の人に該当する
一般の会社でいう「昇進」と同じで、肩書きが付く
- 「昇級」
-
公務員の人に該当
一般の会社でいう「昇格」と同じ
- 「昇給」
-
給料が上げること
ベースアップによる「昇給」
年齢が上がると増える「定期昇給」などがある
昇格試験のスケジュール
昇格試験の案内がきてから試験当日までのスケジュールをお伝えします。
まず昇格試験の案内は試験当日の約1か月前に届きます。
つまり試験当日までの準備期間は約1か月。
試験内容によりますが、この1か月の間に論文や面接対策、自己評価シートの提出などをしなければなりません。
正直かなり短期間で準備しなければなりません。
「何となく今年は昇格試験の案内がくるかも」という人は事前に準備しておくことをオススメします。
参考までに昇格試験の案内がきてから当日までにやることを書いておきます。(自己評価シートと論文、面接試験があるパターンですね。)
- 自己評価シートの作成(上司や先輩の過去資料を参考)
- 上司や管理職に見せてブラッシュアップして完成させる→提出
- 論文のテーマを決める(いま抱えている業務課題がベスト)
- 論文の構成を作成(上司や先輩の過去資料を参考)
- 本文を書く
- 上司や管理職に見せて修正を繰り返しながら仕上げる→提出
- 面接原稿の作成(自己評価シートや論文の内容とつじつまが合うように)
- 上司や管理職に見せて修正を繰り返す(ストーリー重視でスラスラ読めるように)
- 想定問答を考えて文章に書きだす
- 面接練習(上司や管理職クラスと最低3回以上はやる)
- 面接本番
昇格試験は面接が必須
昇格試験ではどの企業も面接は必須にしているはずです。
面接に加えて小論文や筆記(学力)試験を実施する企業もあります。
私の会社では基本的に面接のみで、係長や課長といった役職がつく昇進試験では小論文も加わります。
最近では「自己評価シート」を作成して試験2週間前までに提出することも追加されました。
「自己評価シート」は面接試験で使用され、書かれている内容から質問されるので割と重要な書類になりますね。
まあ就活生でいう「エントリーシート」みたいなものですね。
- 職務経歴
- 現在の業務内容・主な業務課題
- これまでの実績
- 自分の強み・弱み
昇格試験のメリット・デメリット
昇格したいと思う社員は多い反面、試験となるとやはり多くの方が嫌がりますよね。
「仕事はできるし能力もあるんだから昇格させてくれよ!」
そう思うのもよくわかります。
なぜ企業は昇格制度で試験をすると思いますか?
企業側が昇格試験を導入するメリットとデメリットを紹介します。
昇格試験を導入するメリット
企業側が昇格試験を導入するメリットは、次のようなことが挙げられます。
- 社員のモチベーションを上げれる
- ある程度の公平性は見せれる
- ヤバいやつが昇格するのは防げる
昇格試験に合格できれば給料は上がるし、将来、役職に就ける可能性も上がります。
社員はそのために仕事を頑張ろうとやる気を上げ、態度や言動も良くなるよう意識する。(会社の犬になると皮肉で言われたりもしますが…)
社員のモチベーション高いと当然生産性も上がるので企業側にとってはいいことづくめですよね。
また出世の手段として昇格試験を実施することで、公平性を担保していると見せることもできます。
「上司や課長に媚びをうって気に入られた人だけが出世できる」
そんな会社だと不満をもつ人が続出ですね。
まあ実態は昇格試験をしても採点基準がブラックボックス化しているので、どこまで完ぺきかはわかりませんけどね。
あとは面接試験をすることでヤバいやつを見抜くことができます。
仕事ができて能力が高くても上に立つとヤバいやつはいるので、そういう人は面接でふるいにかけられますね。
昇格試験を導入するデメリット
一方で昇格試験を導入するデメリットもあります。
- ストレスに耐えれない社員がいる
- 社員のモチベーションが下がることもある
- 会社に対して不信感を抱く人もいる
昇格試験を受けるとなると相当な準備が必要ですから業務時間外も奪われます。
論文は何度も修正させられますし、面接試験ともなれば緊張やストレスに耐えられない社員も出てきます。
私の会社でもストレスに耐えられず、面接試験当日にバックレた人もいるほどです。
また試験に合格できなかった社員はほとんどがモチベーション下がります。
会社に対して不信感、不満を抱いて最悪の場合は辞めて転職してしまうことも…。
厄介なのは仕事のパフォーマンスを意図的に下げて、チームや他人の足を引っ張る人も出てきてしまうことです。
会社にいればこのような人たちは少なからずいますが、昇格試験がきっかけになることもあるので企業側はこういったリスクも覚悟しなければなりませんね。
昇格試験を受けれるのはどんな人?
昇格試験は受けれる人数も決まっていれば合格できる人数も決まっています。
試験を受けれるのは「社内で評価された優秀な社員のみ」と思いますよね?
ですがそれだけではないのが日本の企業なんです。
ある程度の階級までは昇格できる
昇格試験を受けられるのは、優秀な社員だけだと思いますよね?
確かに係長に近いポジション(階級)になってくると、優秀な社員じゃないと昇格試験の案内すらきません。
ですが20代後半くらいまでなら仕事ができる・できない関係なく、勤続年数で昇格試験を受けれます。
私の会社でも28歳くらいまでは、よほどのことがなければ昇格試験を受けられて普通に合格できます。
差が出るのはその後ですね。
30代になってくると能力や実績が評価されないと昇格できません。
仕事できる人が昇格できるわけではない
昇格していくためには単に仕事ができて能力が高いだけではダメです。
勤務態度や言動など周りからの評価も大切です。
昇格試験の前には必ず上層部で会議が行われます。
「〇〇はそろそろ昇格してもいい年齢だな」
「〇〇は仕事はできるけど勤務態度がな…」
「横柄な態度で他部署からクレームが出ているぞ」
など、こんな感じで一人ひとり評価されます。
いくら仕事ができる人でも上司に反抗したりチームプレーできなかったりする人は選考で落とされます。
周りからの評価も大切なんですね。
資格取得も評価対象
目に見えるわかりやすい評価もあります。
それが資格を取得しているかどうか。
私の会社では会社が推奨する国家資格を取れば評価が上がる仕組みとなっています。
「資格を取ったもん勝ち」と言われるほど。
新入社員の頃は「仕事を覚えるよりもさっさと資格を取れ」と上司から言われていました(笑)
実際にたくさんの資格を取ったおかげで、社内では最速で昇格できました。
資格の難易度で評価点が異なると思うので、会社が推奨する資格はチェックしておきましょう。
昇格試験合格のために必要な準備
昇格試験合格のためには、早いうちから準備することです。
直前になるまで何もしない人は意外とたくさんいます。
論文も面接も慣れていない人ばかりだと思うので、試験の案内がきたらすぐに準備に取り掛かりましょう。
- 自己評価シートの作成
- 論文の作成
- 面接対策
自己評価シートの作成
昇格試験では事前課題として自己評価シートの提出を求められます。
まずは「自己評価シート」をサクッと完成させて提出しましょう。
と言っても面接本番に使用される重要な書類。
手を抜かず提出期限ぎりぎりまで何度も文章を練って提出しましょう。
オススメは先輩の過去資料を見せてもらうことです。
丸コピはばれるのでダメですが、文章構成を参考にすれば自分で一から考えるよりも時短になります。
またある程度作成できたら同僚や上司、管理職の人に見てもらうのもオススメです。
自分では気づけない修正箇所がいくつも見つかると思います。
論文の作成
私の会社では事前に論文を作成して提出するスタイルです。
企業によっては論文の試験日があって、与えられたテーマに対して時間制限内に論文を作成しなければならないようです。
公務員はそのようですね(;’∀’)
私の会社のように論文が事前課題となっている場合は、時間をたっぷり使って質の高い論文を仕上げましょう。
こちらも過去の資料を見せてもらったり先輩や管理職の方に見てもらったりするのがオススメです。
ってか絶対にしましょう。
論文は慣れてないとめちゃくちゃ時間もかかります。
時間はあると余裕こいてた人が締め切り直前でバタバタする様子は何度も見ていますから。
面接対策
昇格試験で一番重要なのは面接です。
面接が9割と言われるほどですからね。
面接は自己評価シートや論文とは違って一発勝負ですからね。
やり直してもう一回はありません。
面接対策として準備するのは次のとおりです。
- 面接原稿を作成する
- 想定問答を考える
- 何度も面接練習をする
面接対策では、まず話す内容を原稿にまとめ、聞かれそうな質問やそれに対してどう答えるか書き出すことが重要です。
原稿には自己紹介や抱えている業務課題、それに対してどのように取り組んでいるか、何を学んだか、今後どうなりたいかなどをストーリー立てて文章にします。
まあ就活と同じですね。
原稿を作成して面接問答を想定できたら、あとはひたすら面接練習です。
面接成功のカギは面接練習をどれだけやるかにかかっています。
最低3回はやりましょう。
面接官役は上司や管理職にお願いして、入室から退室まで本番と同じように一連の流れを通してやります。
繰り返しているうちに話し方もうまくなるし、自信もついて面接本番が劇的に変わると思います。
先輩の過去資料を積極的にパクろう!
昇格試験では自己評価シート、論文、面接原稿など文章を作る作業がたくさん。
効率化させるためにも先輩の過去資料を拝借しましょう。
もちろん丸パクリは速攻でばれます。
過去に先輩の論文をパクったのがばれて不合格になった人がいました
文章構成や表現方法など良いところを真似したり参考にしたりしましょう。
まあ受験勉強や資格取得勉強で過去問を解くのと同じで、問題傾向や解答方法を知っておくということです。
自己評価シートや論文は会社独自のフォーマットがあり、書き方もある程度の決まりがあると思います。
面接も同じで、冒頭や終わりで必ず聞かれる質問があるなど。
そういった試験の内容を知っておくだけで、知らない人とは天と地の差ができますからね。
昇格試験は会社人生で数少ない年収アップのチャンス。
何をしても許されるわけではありませんが、なり振りかまわずやれることは全部やりきりましょう。
「過去の資料を他人に見せるのなんて嫌!」という人もいるので、先輩とのコミュニケーションも普段から大切にしておきましょうね。
昇格試験が終わったらやるべきこと
昇格試験が無事に終わってもやることがあります。
手伝ってくれた上司や管理職の方、過去資料を見せてくれた先輩にお礼を言いに行くことです。
昇格試験は一人で乗り越えられるような試験ではありません。
合否に関係なく感謝の言葉を述べることで、あなたの評価もさらに上がることでしょう。
試験が終わって浮足立つ気持ちもわかりますが、感謝の言葉を述べるのは忘れずに。
そして次にやるのは昇格試験の記録(備忘録)を残すことです。
昇格試験は会社人生で一度きりのイベントではありません。
これからまだまだ受けるチャンスがあります。
先輩から過去の資料を見せてもらったように、あなた自身も貴重な資料として記録しておきましょう。
次回の昇格試験ではこれまでの反省を活かしてより良い結果が残せるようになると思います。
まとめ|合格の秘訣は昇格試験を知ること!
昇格試験を初めて受ける人に向けて、昇格試験のあれこれを網羅的に解説してきました。
初めて試験を受ける人はわからないことだらけ、不安でいっぱいだと思います。
私も何度も試験を乗り越えてきたから言えることですが、昇格試験は情報戦です。
試験の仕組みや試験内容、過去にどんな試験が行われてきたかなど情報を持っている人ほど有利になります。
試験の案内がきてから動いていたら時間が足りないので、できれば普段からインプットする習慣があればいいですね。
昇格試験の合格は、キャリアと年収アップに直結します。
モチベーションも上がってこれまで以上に仕事もプライベートも楽しくなるはず。
試験当日までは忙しく辛いと思いますが、後悔しないようにぜひ頑張ってください。